十和田のカレー

Pocket

それは昔のことでした。
僕がまだ一日200kmほど自転車で走っていてもお尻が痛くなかった頃。

その日も朝から晩まで200kmくらい走った。

自転車で国道4号を北へ北へ進み十和田市を通ったときでした。日はすっかり沈み、時計は10時をまわっていました。
そして僕の自転車の機嫌も悪くなり、ついにパンクをしてしまいました。僕はパンクを修理する元気もなく、自転車を転がしながら、とぼとぼ歩いていました。
ふと晩御飯も食べていないことに気づき、いつもはコンビニやインスタントラーメンだったので、たまにはお店にいこうとあたりを見回しました。チェーン店のきらびやかな光はなぜか僕を寄せ付けなく、小さなカレー屋さんの看板が目に付きました。
ここで食べたカレーのおいしかったこと!多分、普通に食べても絶対お勧めのお店です。なんといっても店員さんがやさしかったのです。自転車旅行をしているというと、サラダをサービスしてくれたり、いろいろ気を使っていただきました。こういうのに僕は弱い。涙が出そうになった。
僕は元気を取り戻し、パンクを直し、予定通りにその日中には野辺地に到着することができました。十和田のカレーには元気がでるスパイスが入っています。そのスパイスは毎年暑中見舞いとして僕の家に届いていました。

実は十和田をでたあと、国道4号をさらに北上していたときに車通りもなくなり、あたりも霧に包まれてきました。霊感などはさっぱりないのですが、何か後ろを振り返るのがこわくて、レースの時以上にスピードが出ていたと思います。

Pocket