スパジャポ

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スパジャポ

その男は温泉が好きだ。

お風呂に入るだけで健康が手に入るような気がするのがとても良い。

しかし男にとって温泉は、決して日常ではない。日々の入浴は、足も伸ばせないバスタブのためにお風呂を洗ったり準備するのが面倒臭く、シャワーで済ませてしまうことが多い。もちろん、お風呂のお湯は普通の水道水だし、温泉の素なども入れない。

男は、時々、日帰り温泉施設を利用する。

しかし温泉も良いことだけでもない。

日帰り温泉は、お風呂だけを目的としてしまうと、夜寝る前とか、スポーツ後とか、利用シーンは限られてしまうし、温泉の素に比べたらコスパも良くない。

男にとって、お風呂に入った後に家に帰るために外に出るということもしたくはない。誰も見てやしないだろうが、整髪していない姿で外出はしたくないのだ。なので車で行けるところで、家の近くの温泉施設が望ましいと思う。

後は清潔感も重要だ。どんなに趣や歴史があるような有名温泉でも、掃除が行き届いていないとがっかりしてしまうし、脱衣場の床が嫌な感じでヌメヌメしていると、なんだか家に帰ってもう一度お風呂に入りたくなってしまう。男は自分の家のお風呂の清潔さは棚にあげつつ、少し潔癖症のキライがあるのかもしれない。

それでも温泉施設へ訪れてしまう。手軽に非日常感を味わえる、温泉が好きだからだ。

男の、もう若くはない肌も、温泉に入ると少しだけ、一瞬だけ復活するのが嬉しい。汗をかくことで新陳代謝が促進されている感じがするのも良い。お湯の効能をふむふむと読んで自分の身体の悪いところに当てはめてみるのも良い。何より休日をゆっくり過ごしているという休息感が得られるのだ。温泉に長い間浸かった後の心地よい疲労感も悪くない。

ということで新しい温泉施設が近くにできるとなると、男はついついチェックしてしまう。少なくても新しいぶん、清潔感は問題ないからだ。今回たまたま志木市役所のところの栄橋に、「スパジャポ」というなんとも言えないチープな名前の日帰り温泉施設の看板が出た時に、都内で値段が高そうだし、これは1度行ったらもう行かない系の施設だなと思いつつ、とにかく1回くらいは行ってみようと思っていた。つまりネーミング的にあまり期待できないと思っていたのだ。

しかし、行ってみるものである。

車で行くと志木からは25分くらいで着いて、なかなかに近いし、料金も思ったほど高くはなかった。少なくても都内の価格ではないと思う。住所は東京だけどほぼ埼玉県新座市との県境というのも関係しているのかもしれない。

スパジアムジャパン、通称スパジャポは何より岩盤浴ラウンジが素晴らしかった。漫画が3万冊置いてあるという。岩盤浴はじっくり低温から一気に高温まで温度別に部屋が別れており、漫画も持ち込み可能だ。たっぷり汗をかいた後のクールダウン用の部屋もある。岩盤浴をしなくても、リラックスできるハンモックやらソファやらテレビやら、くつろげるスペースが広がっている。

男は、これはもうお風呂カフェだな、と思った。

パソコンを持ち込んで仕事している風な人もいるし、岩盤浴しながらスマホを弄っている人もいる。防水スマホが役に立ちそうだが、盗撮とか大丈夫かなとも思う。岩盤浴ラウンジではテラスのようなお外にもハンモックがあり、自然の風に当たりながら過ごすことも可能だ。

温泉施設自体も炭酸温泉を中心に、良い感じのお風呂が揃っている。テレビを見ながらの露天風呂も悪くない。アメニティもノンシリコン系かつ清涼系のシャンプーなど品質の良さを感じられた。

カフェやフードコートもそこまで高くないと思う。もちろん専門店のものと比べてしまうのコスパは悪いが、ファミレスよりは満足度が高い感じではある。男がグルメではないからかもしれないが、1日中いるつもりならこのフードコートの食事で全然問題ないレベルだと思う。

ただし、混雑しているため、男にとってはゆっくりできない感じもあった。岩盤浴ラウンジでは、場所取りしている家族連れも多いし、こちらが恥ずかしくなってしまう感じでイチャイチャしているカップルも目立った。これは夏休みが終わって少しは落ち着くとは思うし、平日ならば少しはマシなのではないかと思う。

新しい施設なので清潔感は問題ないし、フードコートも及第点だが、混雑が凄かったので、もう少し落ち着いてから再訪したいと思う。平日に有給をとって、漫画を読んでは、温泉に浸かってを繰り返すのは最高の休日ではないだろうかと男は思う。

最後に、スパジャポのホームページには「日本最大」という文字が踊っているが、何が日本最大なのかは男にはわかりませんでした。同じホームページ上に関東最大級という文字も見かけるし、もう何が何だか。

スパジャポ

なお、東上線沿線の皆様におかれましては、志木駅や朝霞台駅から無料シャトルバスも出ているので、それを活用すればアルコールを嗜むこともできるかもしれません。また前売り券が公式ホームページから購入できて、その場合レンタルタオル分が無料になるので活用すべきかと思います。

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