弱いつながりを読んで
夏休みも終わるようなので、そろそろ読書感想文を。
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著者の東浩紀さんは哲学者でもあるという。そんな人が「検索ワードを探す旅」というサブタイトルをつけた、なんだかIT関連なのか啓発本なのかよくわからない本をだしたので興味をもち、読んでみた。
読んでみても、結局なんの本だったのかよくわからなかったけど、ネットばかりやっていたらIT業界の手のひらで踊らされるだけだぜ、ってことが実体験と平易な言葉で書いてあり、思わずなるほどねと思うことばかりでした。
なので、あっさり読めるし、言葉にするとそういう事だったのか的な納得感もあり、なかなか満足できた一冊でした。
哲学って、すごく多面的に考えることを正として、そう簡単に答えをださないイメージがあったけど、この本は違います。哲学の本ではないからかもしれないけど、あっさりと「環境を変えよ」と答えを示してくれている。逆に言えばそれだけのことをこの本は謳っているだけとも言えるけど、その答えは普遍的で絶対だからこそ、言い切れる強い答えなんだろうね。そして環境を変えるのは案外難しいので、著者はリアルな旅にでようということをおっしゃっています。
旅の良さは著者の実体験が書かれた本書を読んでいただくとして、印象に残った部分を紹介してみる。
人間は弱い生き物であり、ときに非合理的ではない行動をとってしまうという。異性にモテたら舞い上がってしまうし、目の前で血が流れたら、嫌いな奴でも手を差し伸べたくなってしまう。しかしそういった行動(ノイズ)があるからこそ、決まった道以外が開かれる可能性がある。弱さがいいとこでもあるいう例なんだけど、自分的には可能性の問題なんだろうなと感じた。
自分には可能性がある。やろうと思えば海外に何ヶ月かいけるとは思うし、もしかしたら今から一生懸命勉強してお金を貯めて政治家にだってなれるのかもしれない。現実はやらないだろうけど。けど可能性はゼロじゃない。ノイズがあるから、ひょんなことから今想像する未来から全く外れた道を進む可能性だってある。それって案外救われる考え方だよね。本気をだせば変えられる未来。そんなに人間社会は階級が固定されていないぜって話。
最後にまとめ。
自分なんかは結構卑屈なので、自分が優位に立てる場所を好んで、その場所に自分より優位に立てる奴が入ってくるのを嫌っちゃうこともある。リア充がネットにくるなって感情はわからないでもないです。しかし、この本によるとネットは階級を固定するメディアだという。SNSは友達や趣味などの知り合いとの絆をさらに強めるためのメディアで、そうなると階級の差はずっとなくならない。でも、自分が優位に立てる場所を探して、そこだけで生きるのではなく、自分が強い場所や弱い場所を渡り歩く事で、息苦しくなく、可能性に満ちた生き方もあるんだなと思いました。たまにはネットを切断してみようかな。