デザイン思考

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ペンギン

デザインシンキングとかデザイン思考とか、社会人であればなんとなく聞いたことがあるかと思います。

デザイン思考とは、価値を創造するためのプロセスなのですが、その実体はなかなかに説明しにくいものでもあります。

何故ならプロセスとか言いながらも、そのやり方が一通りではなく、いろいろな手法があったりして正解がわからないし、そもそもデザインという、設計という意味なんだろうけどどこか芸術を連想させる言葉が、美的センスみたいな話に脱線してしまいがちになってしまったりするkらです。

価値の創造をイノベーションと呼んだりもするが、イノベーションを起こす方法というのは常に答えがあるわけではありません。だから、イノベーションを起こすためのマインドセットみたいなものを勉強しましょう、というのがデザイン思考です。

つまり、価値を創造するやり方そのものではなく、価値を創造するための考え方を、色々な事例(ややこしいけどこの事例がやり方)を通して学んで、それを社内に展開することでイノベーションを起こせる組織になろうというのが最近の流行りなのです。

デザイン思考のやり方(事例)はたくさんあるけれど、一貫している考え方は人間中心、ユーザ中心という考え方。

ここは当たり前なんだけど、案外当たり前にできていない部分だったりするので、デザイン思考ではかなり念入りに叩き込まれます。

経営陣の一言でサービス仕様が変わったり、開発スケジュールの都合で機能がオミットされたり、他部門との調整の結果の落としどころでサービスリリースは、ユーザ視点では本来ありえないのです。

サービスを受ける人間がすべて、みたいな話に聞こえてしまうかもしれませんが、まだまだ堪えてください。

もちろん、儲けるといった要素だって大事だし、さらにはお客様は神様的な精神だけではイノベーションは生まれません。

対象の人間(ユーザ)と向き合い、課題を理解し、問題を抽出し、それを解決することでイノベーションが起こる可能性があるのです。

まずは対象のユーザと、共感できているという状態を作り出すことがデザイン思考の第一歩です。共感するためには、ユーザの理解が必要です。そして理解するためには、観察が必要なのです。

観察を行うにあたり、エスノグラフィと言われる現場に入り込んで細かく記録を行うユーザ観察や、デプスインタビューなどの感情などの数値が難しい定性的評価のためのインタビュー調査があります。

ちなみに、インタビューの時は、”ユーザの声は聞かずにその行動に着目する”というのが鉄則だそうです。ユーザはデザイナではないので自分自身の課題をわかっていなかったり、わかっていても言語化できていないからです。とは言いつつインタビューでは行動に対して(嫌われない程度に)なぜなぜと深掘りしつつ会話を進める必要はありますが。「そのきっかけは?」という問いはかなり便利なワードだそうです。

共感ができたら、デザイン思考的によく使われるペルソナと呼ばられる、架空の、しかし現実にいそうなモデルとなるユーザを作ります。

ペルソナ(という手法)は、あくまでチームのメンバー同士での意識を統一するために作るもの。開発者やデザイナが勝手に都合よくサービスを改変しないように「作ったペルソナだったら、どう行動するかな」という問いを常に意識するために作ります。ユーザとの共感状態からはみ出さないようにするのです。

ここまでが、デザイン思考の最も重要な「着想」の部分です。

この後はカスタマージャーニーマップなどを使って、アイデアを「発案」し、さらにはビジネスとして「実現」するプロセスもあるのですが、そこはツールや技法に頼ってもいい部分だと思います。

とにかく着想部分で、人間中心になっているかどうかがデザイン思考の肝だと思うのです。

以上、下の本を読んで思った感想でした。きっとどの会社でもデザイン思考試してみようぜ、くらいな感じだったりすると思うので、自分みたいにサクッと概念だけでも理解しておこうという人にはぴったりの本です。ただし、概念化しすぎていて一般論に思えてしまうので、デザイン思考って特別なものでもないんだなと思ってしまったりもします。


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