もしも、あなたがNTT社長ならば。

Pocket

kindle

Real Time Online Case Study(RTOCS)をご存知でしょうか。自分はまったく知らなかったのですが、国内外のリーダーが取り組んでいる現在進行形の課題をケースとして取り上げ、「自分がその組織のリーダーであればどのような判断を下すか」を経営者の視点で考察し「意思決定」に至る力を鍛えるメソッドだそうです。

そのRTOCSの内容を書籍化したものがあり、講師は大前研一さんとのことで、会社の上司がよく大前さんの本を読んでいることを思い出して購入してみました。

今回読んだのは、『もしも、あなたが「NTT(日本電信電話)社長」「UBERのCEO」ならばどうするか?』です。

正直に言うと、一読した印象でしかありませんが、ケーススタディの解答としては無難な答えしか書いていないなというのが感想です。なるほどと思うことはモチロンあるし、自分がそれを思いつくことができたかと言われると、少し自信がないのですが。

現状を把握して、課題に優先順位を付け、経営者として注力すべきところの記載はあるのですが、

  • 現状の分析が中途半端なような気がして、きちんと自分の目や耳で確認した上で把握したと言えるのではないか
  • プロの経営コンサルタントとしての対象の業界以外の動向を踏まえた優先順位が必要なのではないか

と言った点が、自分には物足りなく、社長ならどうするかの結論としてはとてもあたりさわりのない内容に思えて消化不良に感じました。

もちろん、大筋の施策を立てるためには細かい現状把握までしているとスピード感も鈍るし、そもそもあたりさわりのない内容でも実行するのは難しいので、そこが経営者としてのバランス感覚であり、腕の見せ所なのかもしれませんが。

また、このRTOCSの主旨に立ち返ってみると、答えのない今そこにある問題について、”自分の頭で”考えてみる、という意味では、あたりさわりのない模範回答を提示するだけに留めておけば、読者に考える隙を与えることになり、きっかけとしては良いのかもしれません。

対策を考えるにあたっての前提条件となる「こんな問題/背景がある」の部分は、結構丁寧に記載されていて当事者意識が持てるようになっているので、考えるための題材としては素晴らしいと思います。

(そうか、課題設定が上手ということなのかもしれませんね。何を大事な課題として設定するかで、考える内容も打ち手も変わってくるのは当たり前ですが、小さな課題などすべての課題を同じように扱うわけにはいきませんので。)

本書であげられたNTT社長編の代表的な課題としては

  • NTTグループは法律によって他の事業者と差別化を図るような競争力の高い一元的サービスの提供ができない
  • 経営的には非効率な固定回線網を提供する義務が足枷となっている
  • 事業者間競争の激化により、稼ぎ頭の携帯事業が減益となっている
  • これらからは通信インフラ事業には大幅な市場拡大が見込めない

でしょうか。大前さんの提案は本を読んでいただくとして、せっかくなので自分なりに考えた対策を紹介したいと思います。

NTTグループは法律によって他の事業者と差別化を図るような競争力の高い一元的サービスの提供ができない

法規制をなくす、という方向に持っていくため、直接顧客(国民)に向けて、法律の規制がなくなった際に”可能になる事/サービス”をアピールしてはいかがでしょうか。

そのうえでロビー活動なりメディア戦略などで政治家を動かしていく。まずは実現するサービスが顧客にメリットがあることを知ってもらわないと話にならないと思います。もちろん、他の事業者からはデメリットもでてくるでしょう。それも踏まえたうえでの判断をしていただくように活動したほうがよいと思います。

法規制により現状不可能な事を顧客は理解できていません。法規制により上手く競争が促されている部分についても恐らく理解されていないでしょう。ただし変動が激しいビジネスの世界で、固定電話を独占しているがためにNTTを縛っている法律が現状も顧客にとって有用なのかは見直す必要があることも知ってもらわなければなりません。NTT東西/Comを分割しているのがこのネット全盛の時代に、通信距離を基準に分けているなんてナンセンスとしか。

経営的には非効率な固定回線網を提供する義務が足枷となっている

これはユニバーサルサービス利用料も徴収しているので、簡単に足枷を外せる方法が思いつきませんが、外せないならそれを武器に、こちらは引き続き頑張るから、上記のNTTグループの規制を外してほしいとアピールするくらいですかね。

また、不採算地域においては、固定網を携帯網やIP網に置き換えることを検討させ、コスト比較をしてみます。

事業者間競争の激化により、稼ぎ頭の携帯事業が減益となっている

自分は、”自然な競争”はよいことなので、MVNO含めて競争は歓迎すべきというスタンスです。 ただし技術の進歩や無駄の削減で、コストを削減していくのが自然と考えます。

という理想論は置いておいて、携帯事業はサービスの細分化をやめて、高級路線に舵を切ってもよいのではないかと思います。年会費20万円を払うことで、ドコモのサービスなにもかも利用できるとか。顧客の細かいニーズに答えるため、や、価格的なメリットについてはMVNOにお任せしてしまってもよいと思います。MVNOへの卸し価格体系についても、ドコモ側も儲けることができてMVNO事業者側もスケールメリットが出しやすいものを提供する前提で。

まあ携帯事業については差別化ができなくなってきているので、いかにコストを下げるか、というのが妥当な線な気がします。

これらからは通信インフラ事業には大幅な市場拡大が見込めない

この課題に関しては、通信インフラ以外の事業に進出する、もしくは通信インフラと他事業を組み合わせる、しかないように思えますが。

IoTを考えるとまだまだ伸びシロはあるのではないでしょうか。それこそ、もしかしたら人間以上の数が存在する、モノがインターネットをするために必要な環境を、より安価により使いやすく提供することを検討していきます。

とはいえ、IoTが広がるのはもう少し先な気もします。案外品質の良いと思われるコンテンツ事業や課金プラットフォームの活用については、NTTグループを飛び越えて提供できると、通信インフラだけではないNTTを構築していけるのではないでしょうか。少なくてもNTTグループ各社で行っているコンテンツ事業や課金系業務は統合できるように働きかけたいです。

—–

結局、自分も具体的な策ではなく、かつ奇抜なアイデアでもありませんでしたが、頭の体操にはなったかと思います。これが狙いだったのかな。さくっと読めるボリュームですし、値段もそんなに高くはないので、みなさまも電子書籍で読んでみてはいかがでしょうか。

[amazonjs asin=”B012CIB6SC” locale=”JP”]

Pocket