自分の時間を取り戻すことが可能か
自分の時間を取り戻そう、を読んでの感想になります。ちきりんさんの本は読みやすいのに、いろいろ考えさせられるのでついつい買ってしまいます。
本を読む前に「時間を取り戻す」という言葉から、何から?誰から?と考えます。答えは言わずもがな、自分から、なのでしょう。
そしてその方法は、(自分がやっている作業のうち)何かをやめることなんだろうなと想像できます。
実際本を読んでみると、当たらずとも遠からずって感じでした。
本書のテーマは生産性。
どこかで聞いたことがある言葉ですね。でもその定義は結構曖昧で、人によって意味が違っている言葉でもあります。
ここでは、お金か時間をかけて、手に入る成果のバランスを生産性としています。
生産性 = アウトプット/インプット
という式で表すことにします。
仕事などでアウトプット(例えば資料)が決まっているのならば、インプット(資料作成時間)を減らすことができれば、生産性の値が大きくなるので、生産性向上と言えます。
インプットには色々なものが想定されます。情報もインプットだったりするのですが、時間をかけてネットサーフィンして情報収集とか調査会社にアウトソースして入手するとか、突き詰めていくと大抵、お金か時間で解決できるのがインプットになるような気がします。経験やスキルですら時間とお金をかければ手に入りますからね。
じゃあアウトプットは、というとインプットを活用した成果物なので、こちらも結局は時間とお金さえかければなんとかなるんですね。自分ならでは、のアイデアや個性が現れる部分でもありますが、自分でしかできないと勘違いしないことが重要かもしれません。
つまり、生産性を考えるには時間とお金をどのように使っていくかがキモになってきます。
その上で、著者は、インプットの時間を使いすぎなんじゃないか、と投げかけてきます。
詳しくは本書を読んでもらいたいし、冒頭の何かをやめるという予想が当たらずとも遠からずという部分にもなります。
簡潔にいうのならば、生産性を上げるには時間をかける部分とお金をかける部分があるけど、もっと時間に比重が高いのでお金で解決できることも多いのでは、って感じでしょうか。
お金を使うのってなかなか勇気のいることなんだと思う。それが自分の努力や時間が代替できるのならば、お金を使わずに取っておきたいと思う。自分の時間の価値を理解しておかないと、お金で解決した方が費用対効果が高いのに、無駄な努力/時間の浪費をしてしまった、ということになりかねない。
時間の価値は、その時々によって変わってくるのも難しいところ。時間がたっぷりある人と、忙しい人でも違うし、平日と休日でも違うかもしれない。自分の稼働を時給換算とかできるとわかりやすいんだけど、それも変動することを忘れないようにしたい。
自分の置かれている状況(会社)でも考えてみると、生産性を上げるための振り返りとかあまりできていないかもしれないと反省する。
生産性を向上することへのインセンティブがあまり見えづらいのも確かだし、昭和の(高度成長期のような)働き方が通じてしまうのも確か。努力した方が偉いとか、残業が多く忙しいのは仕事が大変だからという風潮が残っているような雰囲気も一部にあるような。
その中でも、新しい手法を取り入れたり、アウトプットの完成度を見直したりと、できることはあるのでゲーム感覚で、生産性向上を楽しんでいければなあとと思います。
あとは、完璧主義にならない勇気も必要。何もかも求めすぎていないか。専門知識も一般知識も、平均以上とか。ジェネラリストで一部分野はスペシャリストとか理想像ですよね。最近賞賛される母親像である、家事もおしゃれも仕事も子育ても手を抜かないというのと同じくらいの理想像。
色々面白い考え方が載っているので楽しく読めました。時間を取り戻すというのは少しオーバーな表現だったかなと思うし本書を全部鵜呑みにするのも危険ですが、自分の時間の価値をよく考えて、仕事に家事に生産性向上を目指しましょう。
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