還る
最近ブログ更新をご無沙汰しているのは、インターネットに触れる時間が少なかったわけで、ほとんど埼玉の実家に帰っておりました所存です。というのも父の体調が悪くなってしまい、実家の農業を母一人では切り盛りしていくわけにはいかず、かといって作物はすくすく育ってしまい、たとえ市場に出荷できなくとも、捨てる仕事や畑を片付ける仕事はあるわけで。長男はちょっと遠いところに住んでいる関係で次男坊のわたくしめが、一家の大黒柱代行として水菜の出荷をしに、埼玉出張しておりました。
ちょうど自分の夏休みからでしたので、当然台湾旅行はキャンセルして彼女と離ればなれの実家生活へ。夏休みが終わっている現在も、平日は会社、金曜から週末にかけては実家で農業(と看病)、という二足のワラジを履いた生活を送っているため、リポビタンD(Light←ここ重要)は手放せません。そしてついに本日会社を休んでしました。
体を壊すくらいなら、農業をサボってもいいとはモチロン思うのですが、やはり実際に畑にでてみて、両親が育ててきた作物をみてしまうと捨てるのは惜しいし、なにより広い家(農家にしては狭いんだけど)に母が一人になってしまうのも忍びないのでなるべく帰ってあげたいし。(彼女もそうしろといってくれるし)
実は自分、農家の息子なのに、恥ずかしながら、ほとんど農作業について素人同然なのであります。もちろん小さい頃から畑仕事やら出荷の手伝いやらをヤラサレテいたわけですが、その頃は違う野菜(ほうれん草)でしたし、男の子に求められるのは、主に荷物持ちや片付けなどの力作業がほとんどでした。・・・力もあてにならないのだけど。また部分部分では手伝うけれども、学校やらあるので全体を通して手伝ったことはなく、行程というか流れはほとんど知りませんでした。
今回は小松菜と水菜。上の写真は水菜をまさにかっ切ろうとしているところです。
もともと父が種をまき、父母で育ててきた状態のがほとんどだったので、自分が作業したのは刈り取り前の消毒する作業と、収穫して市場へ出荷する作業。
消毒というのは、農薬を散布すること。うちは大きな農家ではないので、ヘリコプターなど当然使いませんッ。身体に付かないようにでっかいマスクやら完全防御して、雨、風がない凪の時間を狙って、30kgくらい重さのある機械を背負って、まぁまぁの広さの畑をエッチラオッチラ歩き回り、エンジンで霧状にした農薬を野菜に吹きかけていくのです。父は60歳を過ぎているのですが、こんな仕事もしていたんだなとちと涙が出そうになりました。自分の肩と腰はこの時点で悲鳴をあげていました。
水菜については刈り取りは結構簡単。根本を狙って鎌をいれるだけ。これは農業で一番派手な作業でやりがいもあるでしょう。といいつつも、ずっとかがんでいる体勢なので腰がいたくなったり、いい水菜だけを選別する作業があったり、慣れてなくスピードが遅いため採っても採っても全然進んでいないと絶望したり、きれいな夕焼けだと思っていたら、とたん、日が落ちて全然手元が見えなくなって帰らざるを得なかったりとなかなかにつらい作業でした。
刈り取ってきたいい水菜は、さらに一本一本、不要な葉っぱを排除する葉っぱ取りの行程に入ります。これも量がたくさんあるので時間がかかり飽きる作業。出荷するにあたり見た目が悪い葉っぱや根っこが残っていると、市場でのマイナス評価(買い取り価格が下がる事)になってしまうのです。それが終わると、再度まとめて、泥を落とすために勢いのあるシャワーのようなもので野菜を洗う行程に入ります。きれいになった水菜は水を切った後にスーパーで並んでいるような袋に詰める行程に入るのですが、ここで最終チェック。わるい水菜を排除したり、根っこをきれいに切りそろえたりして、一袋だいたい二本くらいの水菜を詰めて、段ボールへと収納していく。二本くらいというのは本当は一袋220~230gくらいらしいのですが、うちの方針は少ないことがあってはならないので250gくらいは入れるため、三本もしくは大きいの二本とかを秤にかけながら袋詰めします。
最後に段ボールを市場に持って行く仕事ですが、市場は独特のルールができあがっているのでなかなか初心者には厳しい。とりあえずタオルを頭に巻いて、髭面にして、軽トラックで行くべきでしょう(ウソ)。とはいえ、聞けばなんでも教えてくれるし、今日は息子さんかぁと優しくしてもらえるので問題はなかった。市場に荷下ろしをして、帳簿に手続きをして帰ってくると、その日のうちに、一袋いくらで買い取られたかが電話連絡されるわけ。これが結構しょぼい値段なのですよ・・・。たぶん父がいたらもう少しは高く買い取ってくれると思う。母と自分では時間内に持って行くのが精一杯なので。自慢ではないが父の字(アザナ)のハンコが押した段ボールは高く買い取ってもらえていたのだ。ある意味ブランドだったのだが、イメージを落としてしまったかも。。。
この他に、収穫後の片付けや畑を遊ばせておくと雑草が生えてきてしまうのでトラクターで定期的に耕す仕事があったり、もちろん父を看病したり、お彼岸でお客様がきたり、父の代わりに近所の仏様参りをしたり、地域の組合行事があったり、普通に家事があったり、はたまた収穫時期をずらすように種はまいてあるのですが、天候によって、同時にたくさんの畑が育ちきってしまったり、とかなりの忙しさです。(会社を休んだり、ブログ更新しなかったり、飲み会など誘っていただいてた人たちへ参加できなくてごめんよの言い訳です)でも父が蒔いた野菜も10月いっぱいで収穫が終わるでしょう。そしたらトラクターの耕す仕事のみになるはず。クラッチがいくつもあるトラクターは結構苦手なんだけどね。それまでも少しがんばります!
とここまで読んでくれた方、アリガトウ。手間のかかるちまちました手作業ばかりなんですヨ。でも畑にでるといろいろな虫たちや鳥、おいしい空気や気持ちいい風などなど普段味わえない出来事に出会えるし、葉っぱ取りなど出荷前の作業をしていても近所の人たちがやさしい声をかけてくれたりと楽しい事もあります。なんだかんだいっても、ココが自分の還る場所なんだなと思いました。
こちらは刈り取りの際、選別によってわるい水菜と判断された水菜たち。地面から抜かれるとすぐに腐っていく。なんかかわいそう。食べられたのにな。
特に農家を継ぐとかいったエントリーではないのであしからず。しがないサラリーマンは続けます。長男殿も週末は高い電車賃を払って帰ってきてはいるけど、継ぐのは難しいだろうなぁ。
今日の
体重【65.5】kg
体脂肪率【17.6】%
もっと農作業で痩せたけど、ドカ食いしているので、プラスマイナスゼロです。