嘘つきアーニャの真っ赤な真実を読んで

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嘘つきアーニャの真っ赤な真実という、3人の旧友をめぐる旅についての、エッセイ(ノンフィクション)を読みました。久々に本を読む面白さを確認できた本。

ノンフィクションってあまり読んだ事がなかったのだけど、とても読み応えがありました。フィクションじゃないと思うと、受け止めるのが重い部分もあるのだけど、結構軽快な語りで”物語”が進んで行きます。こんな軽妙な文章を書ける作者を物書きとしてすごく尊敬できます。

この本は「リッツァの夢見た青空」「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」「白い都のヤスミンカ」と言ったように3人の友人ごとに章がわかれています。作者であるマリを含めて4人の登場人物の子供の頃と大人になった後とのビフォーアフターが書かれているのですが、この4人は共産主義圏で育った子供達なのです。共産主義は、今の現代からすれば、マイノリティになってしまった感もあるため、自分の知らない現実世界を垣間みる事ができたのが面白いと感じた部分かもしれません。

自分はリッツァの章がお気に入りなのですが、子供の頃の背伸びしていた感じを大人になってから正直に告白できるリッツァはやっぱり変わっていないなあと微笑ましく読めました。彼女のあっけらかんとした考えは、主義主張なんてのは大勢の人間には関係あるけど、一人一人の個人にはそこまで大きく影響しないような気にさせてくれます。

それぞれの立場でそれぞれの正義があって、それをわかっていても、他人の正義を認めてしまうと自分の正義が揺らいでしまう。世の中にはそんな矛盾が結構あるものです。でもよく知っている個人同士であれば、立場が違うからしょうがないよねで終わらせる事もできる気がします。って今まで思っていたんだけど、自分が日本人だから、案外簡単にそう考えていただけなんだと気付きました。そもそもしようがないよねという考えが日本人っぽかったですね。いやノンフィクションって面白いですね。

この本は(Amazonで安かったので)Kindleを使って電車の中で読んでいましたが、続きが気になって駅のホームで立ったまま読むという恥ずかしいこともしてしまいました。Kindle+BUNKER RINGは便利すぎて電車内の読書が捗ります。久しぶりに図書館で借りた紙の本を読むと、片手でページめくりができないとか、しおりがなかったりと、すごくもどかしく感じます。

ちなみに本のタイトルにもなっている章の「真っ赤な真実」の意味が最後までわかりませんでした。どっかに解説されていないかなあ。知りたい。

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