マーケット感覚を身につけようを読んで
自分が持っているスキルでも、経験でも、考え方でも、モノでも、ステータスでも、これって今の環境(会社)以外でも通用するのかなって思う事がありますよね。
「自分にとっては価値がなくても、誰かにとっては価値がある」
これって特に違和感のない言葉だと思うけど、「マーケット感覚を身につけよう」を読んでから改めて意識するようになりました。ちなみに本を読む以前の自分なら
「自分にとっては価値がなくでも、誰かにとっては価値があるかもしれない」
と思い込んでいました。つまり(今の会社以外では)何の価値のないスキルや経験が存在すると思っていました。
価値って誰が決めるのでしょうか。世界にはたくさんの人間がいます。もしかしたらITやら人間以外に選択される価値だってあるかもしれません。少なくても自分一人だけで決めるものではありませんよね。
例えば、コーディングをした事が無いSEだとしても、SEなのに上流工程だけやらせてくれる職場なんてほとんどないから転職なんかできない、自分には価値がない、と考えるのではなく、上流工程で培った管理スキルや営業スキルは他のSEにはない特徴だと考えてみる、とか。
しかしその価値に気付く事と、その価値を欲しい人(市場)へ届ける事は、なかなかできることではありません。この本では、価値を認識する力をマーケット感覚と呼んで、その重要性と身につけ方をレクチャーしてくれます。センスがいいとか嗅覚に優れるとか呼ばれる人が先天的に持っている能力な気もしますが、気をつけていれば誰にでも身に付けられるような能力です。少なくともこの本に書いてあることで自分には(理解or行動)できないと思えるような難解なことはありません。強いて言うなら、自分が考える価値と市場の反応を比較するために、中途半端でも挑戦すること(とりあえずやってみること)が、心理的に敷居がとても高いくらいです。
マーケット感覚の身につけ方などの詳細はこの本を読んでいただくとして、自分としては冒頭にも触れた、価値をきちんと認識しようという部分に大きく共感しました。今活用している価値以外にも自分には生きてきただけの価値がある。そしてそれを活かせるのはもちろん今の環境だけじゃない。
価値の見つけ方では、価値を細かく分解してみようという訓練がありました。例えば、飛行機会社の提供する価値は移動手段がメインなのですが、帰省なのか出張なのか旅行なのか冠婚葬祭なのか受験なのか、その移動の目的から価値(この場合は移動にかかる時間/交通費/移動中の自由度)を分解してみると飛行機という価値が妥当かどうか判断できそうです。
タスク管理で困っている後輩に、仕事のタスクを分解して考えてみると頭の整理ができるようになるよとか偉そうにアドバイスしていたくせに、自分は価値については分解してみようと思ってもみなかったと反省しきりです。
それだけだと、論理思考の訓練で終わってしまうのですが、マーケット感覚的には、さらに違った価値がないかを模索します。現実的にそれを使う人を想像してみるのです。さきほどの飛行機会社の価値の例だと、出張のための移動手段を使う人を想像してみると、その出張はメールやテレビ会議で済ますことはできないかを考えそうです。となると飛行機会社の価値は移動手段なのですが、その真の目的である移動して何をしたかったのかまでを考えてみると、さまざまな価値を提供していることになります。そして、さまざまな価値に気付けると、それなら自分が代替手段を提供しましょうか、と言えるようになってしまうかもしれないのです。
そこにある価値に気付くか、否か。この差はかなり大きい気がします。それに気付くヒントをくれただけでもこの本は良書と呼べるでしょう。何より読んでいて一つ一つの事例が面白かったです。
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