目標について思うこと

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新宿御苑

「新年を迎えたことだし、一年の目標を立てようか」ということが苦手になっている。

「今更、1年単位の、新しい目標になんの意味があるのだろうか」という天邪鬼な考えと、「目標を立てると、それが達成されない辛さを味わう可能性がある」という身もふたもない考えから、もう何年も新年の目標からは遠ざかっている。

そんな時に、「Kindleオーナー ライブラリー」を眺めていて見つけた、”「目標」の研究”という本を読んだ。これ、すごく共感できた。

本書が、目標の悪いところとして挙げている「挫折して自尊心が傷つくこと」なんてまさに自分が目標を立てない理由そのままじゃないですか。

もう少し共感ポイントを追加しておくと、「夢は素晴らしいけど、夢を持たない生き方だって肯定されるべき」という考え方。夢に生きるのはより良いことなんだろうけど、普通の日常を小さな幸せと共に暮らすのも悪くないはず。

これだけ紹介すると、消極的で目標や夢を持たない怠惰な生き方を推奨する本に聞こえてしまうが、あくまで否定されるべきじゃないと言っているだけだと思う。

本書は、「他のビジネス書とは違う」と書いている同じ内容のビジネス書がたくさんある中で、確かに、独特な切り口があると思う。

本筋の目標の立て方については、斬新な話ではなかったけれども。

目標設定の話については、自分が知っている知識で置き換えると、WBS(Work Breakdown Structure)で説明がつくと思う。

WBSは、目的が最上位にきて、その目的を達成するための作業を分解していった階層構造を持っている。この分解された作業自体を、目標と言い換えたイメージ。

例えば、「健康な身体を手に入れる」という目的があり、「標準体重に近づけるため10kg痩せる」という目標を立てたとしよう。これだけだと具体性にかけるので、「週に2回はランニングする」とか「休日は間食をしない」とかの目標にブレイクダウンしていくことになる。

目標は、自分が取り組みやすいサイズ(WBSでいう所のワークパッケージ)までブレイクダウンでき、階層構造に相関関係が確認できれば、悪くはない。

悪くはない、と書いたのは、いきなりWBSを書けば素晴らしい目標になるかというと、そういうわけではない。取り組みやすいサイズになっているか、とか、無謀な目標値になっていなかったか、とか、やってみないとなんとも言えないことを実際に試してから振り返ってみることが重要だ。つまりPDCAの考え方である。PDCAを回して、目標を見直す。目的を見失わなければ、目標は変わったっていい。

目標設定は、安易に立てると怪我をするが、きちんと体系だって設定すれば、素敵な身の丈にあった目標が立てられるのだ。ただし、1年単位の目標になるかは、その人次第なので、新年の目標にはこだわらなくても良いと思います。それより、目標の見直し(CheckとAction)を頻繁に行った方が役に立ちそうだ。

本筋は斬新ではなくても、本書の細部には、ちょっと心を揺さぶる変わった切り口があるので、共感しつつ、全体的に楽しく読めました。何よりの成果は、目標設定しようと思えました。

蛇足ですが、本書は、274円(2017/1/7時点)。自分はkindleオーナーライブラリを利用したので実質無料で読んだことになるが、価格設定が新鮮に感じる。ボリュームもあるので価格破壊と言えるかわからないけど、電子書籍って素晴らしいなと思います。 

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